指定校推薦・解体新書:メリット・デメリット―総合型選抜(大学推薦入試)―やってる編

★指定校推薦・メリット・デメリット★

―指定校推薦のメリット

・一般選抜を受けなくて良い(高校の成績のみで大学合格が決まる)

・年内に進学する大学が決まる

・(一般受験に比べて)塾代や受験料等がかからない

・(高校によっては)下剋上(高偏差値大学への合格)がしやすい

 

―指定校推薦のデメリット

・評定平均が高くないといけない:高校3年間コツコツやる必要がある

・学校の先生との関係が大事

・大学一校(しかも学部も決まっている)しか受けられない

・受かったら行かなければならない

・一般選抜組からは軽く扱われがち?

指定校推薦・解体新書:メリット・デメリット―総合型選抜(大学推薦入試)―やってる編

そもそも「指定校推薦」とは?

2026年度入試時点で、日本の大学入試は

「一般選抜」

「学校推薦型選抜」

「総合型選抜」

の3つに大別されます。

2011年度 2024年度
入学者総数 599407人(100%) 613453人(100%)
一般選抜(旧・一般入試) 333722人(55.7%) 291590人(47.5%)
学校推薦型入試(指定校推薦を含む) 210450人(35.1%) 214549人(35%)
総合型選抜(旧・AO入試) 51895人(8.7%) 98520人(16.1%)

出典:文部科学省「令和6年度国公私立大学・入学者選抜実施状況の概要」他

「指定校推薦」はこのうち学校推薦型選抜に含まれます

かつては一般入試・推薦入試・AO入試と呼ばれていましたが、2021年度に

名称変更が行われました。

学校推薦型には公募型もありますが、学力検査がある場合や倍率が高い場合

も多く、確実性という点では指定校推薦が際立ちます。

指定校推薦は大学が特定高校に与える“枠”に基づいて出願できる制度で、

浪人生は利用できません。

枠は大学の学部・学科ごとに割り振られ、その条件として

評定平均(高校1〜3年1学期までの成績)

が重視されます。

9月頃に高校へ推薦枠一覧が提示され、生徒はこれを見て高校に希望を伝え

ます。応募者が高校に割り振られた枠を超えれば校内選考となり、それを

通過すればほぼ確実に大学へ進学できます

合格すれば辞退不可で、ほかの大学は受験できない点も重要です。

「大学生の5人に一人が指定校推薦」ルートで大学に入学している

令和になり、大学入学者のうち一般選抜の割合は減少し、2024年度には過半数を割りました。

2011年度 2024年度
入学者総数 599407人(100%) 613453人(100%)
一般選抜(旧・一般入試) 333722人(55.7%) 291590人(47.5%)
学校推薦型入試(指定校推薦を含む) 210450人(35.1%) 214549人(35%)
総合型選抜(旧・AO入試) 51895人(8.7%) 98520人(16.1%)

出典:文部科学省「令和6年度国公私立大学・入学者選抜実施状況の概要」他

特に私立大学では一般選抜はわずか4割に過ぎず、学校推薦型の比率が高く

なっています。

全大学生のうち約2割が指定校推薦入学である試算もあり、指定校推薦の制度は

非常に広範囲に利用されています。

「指定校推薦」の実態

しかし、指定校推薦の実態は高校によって大きく異なります。

難関大学の推薦枠は当然ながら実績のある“それなりの高校”に与えられます。

分かりやすく言うと、偏差値の高い進学校には、早慶の指定校推薦枠がたく

さんあるというイメージで大枠は間違っていません。

早稲田などの難関校の枠を持つ高校は、そもそも一般選抜でも合格者を出せる

高校ばかりというのが実態です。

ですので、難関大学の指定校推薦を利用したい場合、まず枠を持つ高校(ないしは

中高一貫校)に入り、そのうえで評定上位を争わねばなりません。

さらに指定校推薦の枠は毎年変動(多くの場合はほぼ変わらないですが、原理的には

少しずつ変動する)するため、「この高校なら絶対にこの学部の指定校がある」という

読みは通用しないと考えておいた方が無難です。

確実性を求めるなら大学附属校の方が無難です。

一方、学力層が高くない高校では、国公立や難関私大の一般選抜を受けるのは難しい

ケースが多いです。

そうした学校では指定校推薦が進学の主軸になる事もあります。

学年トップ層であれば、難関私大の推薦枠が少数ながら設けられていることもある

からです。特に歴史のある学校や、そもそも「●●大学と強いコネクションがある学校」

なども存在します。

大学にとっての指定校推薦

「大学にとっての指定校推薦」は正直、大学のレベルによって意味合いが全く異なります

指定校推薦で学生の過半数を集めるような大学も存在しますが、そのような

大学は難関校志望者から見れば魅力が小さく、「一般受験組が羨ましいと

感じる指定校推薦」とは言えないのが現実です。

具体的に言えば、早慶上智やMARCHの指定校推薦とは違うという事ですね。

指定校推薦を目指すうえでは、全科目の授業態度と提出物が重要で、特定科目

だけを勉強する戦略は取れません。

文系志望でも数学や理科の評定が重視され、家庭科や情報も同じ比率で評価対象

となります。

一般選抜のように“捨て科目”が許されないため、高校の授業に真面目に取り組む

必要があります。これは大学での学修姿勢にもつながり、提出期限を守る能力が

高いという点で、指定校推薦組は大学進級に適応しやすい側面を持つとも言われます。

ただし、指定校推薦は授業態度の継続が難しい生徒や、特定の教員との関係が悪い

生徒には向きません。

高校の評価(評定平均)に依存するためです。

また、指定校推薦は合格した時点で進路が確定し、辞退すれば後輩への影響が大きい

ため専願と考える必要があります

幅広い選択肢を残したい、複数校を比較したい、あるいは仮面浪人したいなどの希望が

ある生徒とは相性が悪いです。

一般選抜は受験校の数も辞退も自由であり、自由度が圧倒的に高いです。

金銭面では、指定校推薦は塾代や受験料が最小限で済む大きなメリットがあります

特に経済的に余裕がない家庭の生徒にとって、一般選抜で必要になる高額な受験料・

入学金の負担は大学進学を妨げる可能性があります。

そうした生徒にとって、指定校推薦は“大学進学を断たないためのセーフティネット”

として機能しているとも言えます。

結果として、一般選抜を受けられるということ自体が、経済・学力・環境面で

恵まれた状況を意味するともいえます。

以上を総合すると、指定校推薦は確かに魅力的な制度ではあるが、「誰にとってもお得」

というわけではありません。

高校のレベル、志望大学の種類、生徒自身の性格や学習姿勢、そして経済状況などによって、

価値は大きく変わります。

制度を正しく理解し、どの選択が自分に最も合っているかを見極めることが何より重要ですね。

まとめ

★指定校推薦・メリット・デメリット★

―指定校推薦のメリット

・一般選抜を受けなくて良い(高校の成績のみで大学合格が決まる)

・年内に進学する大学が決まる

・(一般受験に比べて)塾代や受験料等がかからない

・(高校によっては)下剋上(高偏差値大学への合格)がしやすい

―指定校推薦のデメリット

・評定平均が高くないといけない:高校3年間コツコツやる必要がある

・学校の先生との関係が大事

・大学一校(しかも学部も決まっている)しか受けられない

・受かったら行かなければならない

・一般選抜組からは軽く扱われがち?